トゥヘルチェルシーのフォーメーション最適解を探る

 

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3-4-3? 3-5-2? トゥヘルチェルシーのフォーメーション最適解とは

 

20-21シーズンの中盤から、途中就任しチェルシーを見事立て直したトーマス・トゥヘル。戦術家としても知られる彼がチェルシーの監督に就任し、まず当て込んだシステムは3-4-3だった。4-2-3-1のランパード政権では、不遇の時を過ごしていたアントニオ・リュディガー、マルコス・アロンソらを完全復活させるだけでなく、特大のポテンシャルを発揮できずにいたティモ・ヴェルナー、カイ・ハヴァーツらの本来の姿を引き出したのも、トゥヘルの3バック採用が引き金であった。

サッカーコートを縦に5分割したレーンを用い、攻めに入るポジション位置をそれぞれに落とし込み、素早いトランジションと前線からの守備を全員に要求、攻撃時はボールをGKや3バックから丁寧に組み立て、前線の数的有利に繋げるといったスタイルで、見事にチーム状況は改善した。

監督就任時は9位だったプレミアリーグでの順位は、最終的に4位のCL出場圏内でフィニッシュ。FAカップでは決勝でレスターに敗れたものの、同じく決勝に進出したチャンピオンズリーグではペップシティを撃破、9シーズンぶりにCL王者へと返り咲いた。

 

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PL優勝が目標の21-22シーズン、トゥヘルチェルシーはスタートダッシュに成功

 

わずか半年で結果を残した恐るべきトゥヘル。フロントの信頼もがっちりと掴み、オフには3-4-3のシステムを継続する指針のもと、選手の補強に着手した。アクラフ・ハキミ(PSG)、ジュール・クンデ(セビージャ)、アーリング・ブラウト・ハーランド(ドルトムント)、デクラン・ライス(ウエストハム)ら豪華な名前が補強の名に上がったが、最終的にはインテルからロメル・ルカクアトレティコ・マドリーからサウール・ニゲスを獲得。レンタル先から、ルベン・ロフタス=チーク、マラング・サール、トレヴォ・チャロバー、ロス・バークリーらを呼び戻した。必要最低限とはいえ、的確に穴を埋めた印象を受けたこの補強で、チェルシーはスタートダッシュに成功。UFFAスーパーカップを制すと、プレミアリーグでは強豪との連戦を4勝1分1敗でまとめ3位という好位置につけた。

しかし、長丁場となるシーズンの中を3-4-3で戦い抜くことになるのか、スパーズ戦では後半から3-5-2を用い勝利を掴んだが、シティ戦では脆さを露呈した。果たして現チェルシースカッドの最適解はなんなのだろうか。

 

・3-4-3

プランA

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現状最も良いとされるシステム。3バックは守備のタスクを狭く深く変化させたためリュディガー、クリステンセンらの安定感が上昇、ビルドアップも安定するようになった。十分右サイドバックで通用していたアスピリクエタも年齢の衰えを考えれば3バックはより安心して見ていられる。左サイドバックとしては計算できないアロンソに適正ポジションが生まれるのは言わずもがなで、ボランチポジションもパスの選択肢が増えるジョルジーニョは水を得た魚の如く本領を発揮。もう片方にカンテ、コバチッチを置けば攻守にハイレベルな中盤となる。前線3枚もお互いの距離感が遠いのを好まないハヴァーツやルカクにとっては1トップ2シャドーは最適解と言える。また、ヴェルナーも相手を釣る動き、裏への抜け出しで明らかにプレーが向上した。不安は、中盤の手薄さでサウールがボランチとして計算できない今、ジョルジーニョ、カンテ、コバチッチのうち一人が離脱すると台所事情はかなり厳しくなる。昨季穴を埋めてくれたビリー・ギルモア(ノリッジにレンタル中)は今季は居ないからだ。

 

プランB

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このシステムは上記のシステムから前線3枚の並びが変わっただけである。ルカクとヴェルナーは2トップで最も良さを引き出すし、お互いの相性もバッチリである。ポストプレールカクと裏へのスペースへ抜け出すヴェルナーでゴール量産の期待だ。トップ下には、マウント、ハヴァーツの起用が効果的か。プリシッチも2トップの一角でセカンドトップ的な役割を担ってほしいところである。

 

・3-5-2

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コバチッチ、ジョルジーニョ、カンテの最強中盤トリオを同時起用する贅沢なシステム。この3人が並べば組み立ては安定するし、失点のリスクも格段に減る。だが、シティにやられたような対策をされれば脆い。中盤と前線の繋ぎ役がいなくなり、アロンソアスピリクエタ、ジェームズらが自陣でピン留めされてしまえば、2トップが孤立してしまう。ただ、サウール、ロフタス=チーク(バークリーも?)をIHとして計算できるため2人の出番は増えそうだ。

 

・4-3-3

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現実的では無いが、よく議論にのぼる4-3-3である。メリットとしては左サイドバックとしての完成形であるチルウェル、2ボランチとしては計算できないロフタス=チーク、サウール、3バックシステムだとなかなか出番がないハドソン=オドイとツィエクらに本職のポジションが用意できることくらいか。ただ、4バックにはCB陣に不安が残るし、ルカクも1トップでは上手く攻撃に絡めなさそうだ。そもそも、チルウェルはウイングバックでも素晴らしいプレーを見せることができるし、IHの問題は5-3-2でも解決できる。ハドソン=オドイとツィエクはシステムに問題があるというよりは単に実力不足感が否めないので、3トップを実現したとしても明らかに違うプレーを見せるとは考えにくい。

 

・4-2-3-1

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最も現実的ではないのがランパード体制で多用した4-2-3-1。ボランチ手薄問題が再燃するし、プリシッチ、ハドソン=オドイ、ツィエクが両サイドに張りパックパスを繰り返す姿が見えてしまう。またプレミアリーグのスピード感、プレスの強度から考えてトップ下に計算できるのはマウントと覚醒した時のバークリーくらいか。ハヴァーツ、ヴェルナーらのポテンシャルを引き出すことができなくなり、マウントのアクセントやテクニック依存となってしまいそうだ。