久々の清々しい敗北 トゥヘル2季目、初黒星で見えた課題(PL 第6節 チェルシー0-1マンチェスター・シティ)

f:id:best3digluck:20210926181618j:image

・試合内容

チェルシー0-1マンチェスター・シティ

得点者:53,ガブリエル・ジェズス(マンチェスター・シティ)

清々しい敗北。このような言葉で形容するのがふさわしいゲームだった。プレミアリーグ第6節、おそらく今シーズンの優勝を争うであろうチェルシーマンチェスター・シティ(以下シティ)がスタンフォードブリッジで相見えた。

前節のスパーズ戦の後半で素晴らしい戦いを見せた、カンテ、ジョルジーニョコバチッチを同時起用し中盤に配置する5-3-2を採用したトゥヘルは、前線にヴェルナーとルカクのコンビを起用した。しかし、この試合に関しては5-3-2は全くと言って良いほど機能しなかった。ペップ率いるシティは、トランジションが早いのは当然、チェルシーボール保持時は、3バックにグリーリッシュ、フォーデン、ガブリエル・ジェズスが強烈なプレッシャーをかけ満足にビルドアップをさせない。アスピリクエタアロンソらがロングボールで逃げるしかない場面がたびたび見られた。得意のビルドアップから数的有利を作り出し、前線で崩し切るというパターンが封じられたチェルシーはシティの猛攻にさらされることになる。しかし、DF陣は安定しており何回かのPA内への侵入やミドルシュート、多くのCKでゴールに迫られるが、リュディガー、クリステンセン、アスピリクエタを中心にゴールを許さなかった。

しかし、この時間が長く続くわけではない。53分、ガブリエル・ジェズスのシュートがジョルジーニョの足に当たってゴールに吸い込まれた。不運とはいえ、前半からの試合展開からして、当然の失点ではあった。シティのプレッシャーによって分断されがちだった2トップと3枚の中盤を諦め、トゥヘルは60分にカンテを下げハヴァーツを投入。いつもの5-2-3へとシステムを戻した。点を取りにいかなければならない状況となったチェルシーは、ハヴァーツが攻撃の潤滑油となりチャンスを増やした。ルカクがゴールネットを揺らしオフサイドとなった場面も前半では見られなかった攻撃だった。ただ、点を取りに行けばシティのカウンターにさらされ、失点のリスクも大きくなる。コバチッチ、アロンソといった選手の攻撃参加後にカウンターをくらい、何度も決定機を作られた。ここで立ちはだかったのが復帰戦のメンディー。後半だけで4〜5本の決定機をスーパーセーブで止め、最後の砦となった。76分に、守備でシティの狙い目となっていたジョルジーニョを下げロフタス=チークが投入されるが、シティの守備は集中力を切らさず、決定機につながりそうだった2つのチャンスはラポルテ、ルーベン・ディアスがイエローカード覚悟のファウルで止めるクレバーなプレーを見せ、チェルシー攻撃陣をシャットアウトした。

枠内シュート0本に抑えられる完敗。しかし、チェルシーファンにとっては久々のポジティブな敗戦だった。コンテ監督時にPLを制覇して以来、チェルシーは多くの敗戦を喫してきたがここまでポジティブな印象を持ったのは久々である。先発11人、途中出場の3人含めて戦犯となった選手はおらず、むしろ3バックとメンディーは素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた。ジェームズの怪我を除いた、ハヴァーツ、ロフタス=チークの投入も的確なチョイスで、やはりトゥヘルの修正力も高かった。負け惜しみに聞こえてしまうかもしれないが、ペップの落とし込んだ対策とそれを90分遂行し続けたシティを褒めるべきで、チェルシーはここから続く中堅クラブとの連戦を落とさず、次のエティハドでの直接対決でリベンジを果たすことに集中すべきである。

 

・選手評価

GK エドゥアール・メンディ 7.0点

CKなどのセットプレーでの安定感は相変わらずでシティ相手にも危なげなくピンチの芽を摘み取った。カウンターをもろにくらいつづけた後半はビッグセーブを連発し、不運だった1失点に抑えて見せた。

 

DF リース・ジェームズ 5.5点

プレッシャーにさらされ思うように攻撃のスイッチを入れられず、守備対応に追われた。前半中盤にグリーリッシュとの接触で足首を負傷。一度はピッチに戻るも、29分にチアゴ・シウバに代わって退いた。

 

DF セサル・アスピリクエタ 5.5点

最初は3バックの右、ジェームズ負傷交代後は右のウイングバックとして役割を全う。パスでの組み立てと守備対応はいつも通りセーフティーにこなした。前半早々にルカクへと繋げて決定機となったロングパス以外はノーインパクト。

 

DF アンドレアス・クリステンセン 6.5点

シティ相手にも頼もしい姿を見せてくれた。空中戦ではほぼ無敗でクロス、CKを跳ね返し続けた。地上のデュエルでも強さを発揮し、相手からボールを刈り取る場面も。

f:id:best3digluck:20210926170704j:image

 

DF アントニオ・リュディガー 6.5点

自陣で守備に追われたが、対応は完璧。1対1でジェズス、ベルナルド・シウバらに自由を与えず。セットプレーでもボールを跳ね返し続けた。

 

DF マルコス・アロンソ 5.0点

数日前のカラバオカップを除いて全ての試合で先発しているアロンソは疲れが見えた試合だった。ボールタッチが長くなりロストするシーンがたびたび見られた。

 

MF エンゴロ・カンテ 5.0点

かなりのプレスを受けてしまい相手を剥がしてルカク、ヴェルナーを活かす動きを封じられた。珍しくボールロストもあり、精彩を欠いた。

 

MF ジョルジーニョ 5.5点

色々なスペースに顔を出し、的確な散らしでビルドアップを行ったが報われず。前を向いて効果的なパスを出す場面はほぼ作れなかった。

 

MF マテオ・コバチッチ 6.5点

よく走り頑張ってくれた印象。5-3-2で臨んだことでいつもより攻撃での貢献が求められ、攻守でかなりの距離を走った。ハヴァーツ投入後も攻撃に顔をのぞかせた。終盤はかなり疲れた様子だったが、代わりとなる選手がいないので疲労による怪我が心配だ。

 

FW ロメル・ルカク 5.5点

前半はほぼボールに触らず。ただ、少ないタッチ数でもボールを収め攻撃につなげるプレーは見せ、相手の脅威にはなった。ヴェルナー、ハヴァーツら他の攻撃陣との連携は課題だ。

 

FW ティモ・ヴェルナー 5.5点

カウンターで自由に相手を切り裂くのが理想だったが、そもそもボールに触る機会があまりらなかった。前半早々には、相手を剥がしてルカクの決定機に繋げたり、攻撃センスは本物だ。

 

DF チアゴ・シウバ 6.0点

ヘビーユーズすると怪我が心配であるため、今日はお休みと思いきやジェームズの怪我により前半から出番がやってきた。シュートブロック、裏への対応でしっかりと仕事をこなした。

 

FW カイ・ハヴァーツ 5.5点

途中出場で間違いなく空気を変えたが、求めているクオリティには達せずといったところか、ルカクとの連携を深めカウンターで当たり前のように点を決められるようになれば無敵なのだが。

 

MF ルベン・ロフタス=チーク -

今季プレミアリーグ初出場で、サッリ監督時代の姿の片鱗を見せた。懐の深いボール扱いでボールキープし、軽やかな動きで相手を剥がした。シティからすると後半から入ったフレッシュで面倒臭いプレーヤーだったに違いない。

f:id:best3digluck:20210926181544j:image