内容伴わぬチェルシー、ポジティブ要素なくユベントスに敗れ公式戦2連敗(欧州CL グループリーグ第2節 ユベントス1-0チェルシー)
・試合内容
スコアは0-1だが、ポジティブ要素は語ることができない敗戦となった。チェルシーの選手たちの前半最初の動きを見て感じ取れたのは他でもない"疲労"だ。過密日程で試合が行われる中で、間違いなくフル出場を繰り返す選手には疲労の様子が伺えた。そんな中、主力選手ではマウント、プリシッチ、ジェームズが怪我でメンバー外、カンテはCOVID19の陽性反応を受け隔離中だ。そんな流れもあってスタメンには、いつも通りのメンバーが名を連ねた。とはいえ、相手もモラタ、ディバラ、アルトゥール、ラムジーらが離脱中で、お互い現状怪我人続出という点では言い訳できない試合になった。
前半は、チェルシーがほとんどの時間ボールを保持する展開。ただ、効果的な攻撃は一切できなかった。パスのちょっとしたズレや、トラップの少しのミスが積み重なり相手を崩せないばかりか、ツィエク、アロンソのクロスはおおむね相手DFがブロック。攻撃のプランがルカクへの縦パスからの落とししかないじゃないかというほど、ルカクのポストプレーに固執し、たびたびデリフト、ボヌッチに跳ね返された。頼みのハヴァーツはと言うと、相手にドン引きされたことで限りなく消されたバイタルエリアを浮遊していたが、ボールを持てばすぐ寄せられ、ドリブルは可能性を感じさせず仕掛けてはタックルされロストを繰り返した。今季絶好調のコバチッチも疲労困憊の様子で、前半のユベントスの2本の決定機は彼のロストからだった。
後半は、明らかに攻撃でも元気がなかったアロンソに変えてチルウェルを投入。左サイドの攻守両面のレベルアップに期待がかかるという矢先に、キエーザに素晴らしいシュートを決められ失点した。
その後62分までは、試合がややオープンな展開になったとは言え前半とほぼ同じく、チェルシーが単調な攻撃を繰り返す展開となる。62分に、ハドソン=オドイ、チャロバー、ロフタス=チークの3枚を同時投入。この交代から、少し流れはチェルシーに傾くが固められた相手人深くで効果的なチャンスメイクは依然出来ず、何回かカウンターを食らうという「先制されたときのお決まりパターン」が続くことになる。鋭いカウンターを見せていたキエーザ、ベルナルデスキのコンビがベンチに下がってから終盤にかけてはバークリーの縦パスからルカクが決定機を迎えたり、ハヴァーツが頭で合わせるチャンスが2回ほどあったりしたがゴールには結び付かず。トリノで勝ち点を落としたチェルシーは公式戦連敗となり、グループリーグも3位後退となった。
この試合の課題も明らかに攻撃のアイデア不足だったチェルシー。引かれた相手にルカクのポストプレー頼みとなり、相手はルカク、ハヴァーツに的を絞って潰しに来た。ツィエクも守備に改善は見られたが、ドリブル、裏抜け、クロスどれを取っても離脱中のマウントとかなり差があった。広大なスペースがあればいきいきしたプレーを見せるハヴァーツもあれだけ狙われればフラストレーションが溜まるだろう。今まで攻撃への貢献が大きかったアロンソの不調も影響は大きい。"マウントが帰って来れば"と言ってしまえばそれまでだが、長いシーズンマウントありきで考えるのはリスクだ高い。ルカクがサイドに流れたり、ハヴァーツが裏を狙ったりツィエクが色々なところに顔を出すなどの前線の流動性は最低限必要となるだろう。これまで、驚くほどの変化をチームにもたらしてきたトーマス・トゥヘルのことだ、次のサウザンプトン戦には改善し、試合に挑んでくるだろう。
・選手評価
GK エドゥアール・メンディ 6.0点
相手のセットプレーも少なく、活躍の出番は少なかったが、目に見える形で安定感は見せた。いわゆる存在自体で安心するというやつだ。キエーザに決められたシーンは、しっかりとコースを消していたし、彼を責めることはできない。
DF セサル・アスピリクエタ 5.5点
空中戦のデュエルでもなかなかの勝率であったし、攻撃に手詰まり感があった前半の終盤は前線に張って工夫を見せた。後半途中にチャロバーと変わったのは、怪我防止も含めたトゥヘルのナイス判断だ。
DF アンドレアス・クリステンセン 5.0点
ビッグクラブ相手にも安定したパフォーマンスができるようになったのは彼の大きな成長。キエーザにやられまくっていたが、以前の彼なら失点直結ミスやカードやらをやらかしていたはずなので、最低限の役割は果たしたと言えるのではないか。
DF チアゴ・シウバ 6.5点
もはや居なくてはならない存在となったベテランは、この日も殊勲の活躍。特に、守備ががちゃがちゃだった後半は得意の読みで何度も相手のチャンスを防いだ。
DF アントニオ・リュディガー 6.0点
大きなミスなくいつも通り安定していた。振るわない攻撃陣をサポートする形でルカクへの惜しいパスを繰り出していた。過労なのが心配な点で、アスピリクエタ、クリステンセンを後半途中に休ませたこの日もフル出場となった。
DF マルコス・アロンソ 4.5点
彼の武器はそのオフェンスセンスであるので、そこが低調であるならハーフタイムで下げられるのは仕方ないだろう。少し休んで、今度のハイパフォーマンスに期待したい。
MF ジョルジーニョ 5.0点
疲労でパフォーマンスが落ち気味の中の一人。試合に出ずっぱりなので仕方ない部分もある。ビハインドの展開になるとカウンターからの守備に難があるので、シティ戦同様ベンチに下げられた。
MF マテオ・コバチッチ 5.5点
疲労が原因で目に見える形でパフォーマンスが落ちているコバチッチ。前半の出来は酷かった。ただ、後半は攻撃の起点となりいつもの調子を取り戻し、守備でもよく走った。
FW ハキム・ツィエク 5.0点
いつもより気持ちが入っていたのは試合を見てもわかる通り、守備ではかなり頑張っていた印象。ただ守備のタスクは最低限の仕事であり、彼に求められるのはチャンスメイクと局面の打開だ。その点、明らかにクオリティが低く、得意であるはずのクロスも引っかけ続けた。
FW ロメル・ルカク 4.5点
デリフトとボヌッチにポストプレーを狙われ、前を向ける場面はほぼなかった。トゥヘルにあの動きだけをしろと指示されているのか?裏への動きを狙ってもそこへボールを送る選手がいないのは気の毒である。バークリーからの決定機は決めたかった。
FW カイ・ハヴァーツ 4.5点
見せ場を作れず90分が終了。ほぼスペースのないところで攻撃のタクトを振ることを求められたが、要求が高すぎたか。とはいえ絶好調の彼ならもっと見せ場を作っていたはず、インフルエンザ感染からコンディションが戻っていないのなら心配だ。
DF ベンジャミン・チルウェル 6.0点
なぜ今まで出られなかったのかわからない安定したパフォーマンス。とにかく、足元の基礎スキルがパーフェクトだ。出場時間が増えれば、本来の彼が見られるまで長くはかからないだろう。
FW カラム・ハドソン=オドイ 5.0点
相変わらず守備では居てほしいポジションに居なくてカウンターをもろに受けることが多い。ウイングバックなのにあがりすぎなのである。一対一ではサンドロを翻弄したが、突っ込んでからの右足しかないと研究された終盤は抑え込まれた。
DF トレヴォ・チャロバー 6.0点
バークリーが入るまでの数十分間は5-3-2のアンカーとしてそつなくプレー、ロリアン時代は本職だっただけに流石だった。最後は3バックの右としてレギュラー組と遜色のないプレーを見せた。
MF ルベン・ロフタス=チーク 6.0点
その大きい体を駆使して、ボールキープ、軽く旋回して前を向くプレー、など本来の実力を見せつけてきた。縦パスも可能性を感じさせており、スタメンで見たいというのがサポーター共通の意見だろう。
MF ロス・バークリー -
ゴールが必要な展開で、ポジションとしてはボランチとして起用された。悪くなかった印象で、カウンターで持ち運べ、ルカクへの決定機も演出した。現状の攻撃陣を見るに、もっと出場機会を与えても良いのではないかと言う印象だ。